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Ayahuasca

 行き先はAlter Do Chão。早速、船に乗りサンタエレムに向かう。マナウスからサンタエレムまでは船で一日半かかり、アルタドシャオは更にサンタエレムからバスで30分の場所にある。

 

 一般にはアマゾンのカリブ海として知られている。世界で最も美しい淡水のビーチを収容する、サンタレンの主な観光スポットとしてイギリスの新聞に紹介されたこともある所。

 

 写真を撮りに船のデッキに上がると隅の方からいい匂いがした。3人組がマコンヤを吸っている。向こうも僕の視線に感ずいたのかこっちへ来いと手招きしている。

出発進行!テンションは最高調だ。


 船で一晩過ごし次の日サンタエレムに到着したのは夜だったので、もう一泊船で過ごし次の日の早朝アルタドシャオへ向かう。アルタドシャオに到着するとアンナに書いてもらったメモを頼りにコミュニティーがある場所を探す。

 

 最初に向かったのがコミュニインディオス。町の人たちにはパウロブラジルとして知られている。門の前に着くとイグアナに出迎えられびっくりした。中へ入り何度か声をかけようやく返事が返ってきた。

 

 上半身裸の男が出てきてスペイン語でセレモニーを受けに来たのかと聞かれる。そうだと答えると、この先の奥の家にいって手を叩いてパーンと呼んでみろまだ寝ているかもしれないという。言われた通り奥の家に行って手を叩きパーンと呼んでみる。すると中の方から返事が聞こえた。そしてふっくらした女性が中から現れる。

 

 セレモニーを受けに来たの?セレモニーは来週の火曜日に行うからそれまで待たなければいけないわ。それと、

セレモニーを受けるには100レアルを支払うことになっていて、抗うつ剤などの薬を常用している場合はアヤワスカを取ることはできないわ。と説明してくれ最後にあなた何人?と聞かれる。

 

  日本人だと答え火曜日までここに滞在することはできるのか?と尋ねると一泊15レアルかかるが滞在することは可能だという。ちょっと迷ったが、後4日も待たないといけなかったのでリストに載っていた次の場所へ行くことにした。帰りにまたイグアナがいたので今度は写真を撮る事ができた。

 次にアマゾナスのカリブと評判の高いビーチへ行くことにした。写真が悪いのであまり綺麗な所に見えないが実際はこれの100倍くらいは美しいところだった。それから町の中心地へ次の場所の手がかりを探しに行く。いくら小さな町といえどコミュニティーの名前だけ書かれたメモを頼りに場所を探すのには苦労する。

 

 中央広場へ行くとヒッピー達がアクセサリーを売っていた。こういう話は彼らに聞いた方が一番手っ取り早い。次の場所はバスでいかないと今いる所から歩くと30分くらいかかると教えてくれた。30分くらいならと思い歩くことにした。しかし30分歩いてもそれっぽいところは見えてこない。

 

 歩き始めて2時間ほど経ちいい加減、体力の限界を感じていた頃、Caminho Das Piedraという看板が目に留まる。ヒッピーに教えてもらった場所とは違ったがリストに名前が書いてあった場所だったのでもうここへ行くことにした。声を掛けながら奥の方へ進む。。人気はなく返事もない。大分奥へ行ったところで女性が表れた。

 

Caminho das Piedras

 案内された場所にはもう一人女性がいて食事の支度をしていた。しばらくして男ともう一人女がやって来た。地元サンタレム出身のウィレム、イタリア人のクリス、イスラエル人のアビ、アルゼンチン人のバルバラとギドここに住んでいるのは、全部で5人。歳はみんな僕よりも若そそうだ。

 

 アビが敷地内を案内してくれここのルールを説明してくれる。ウィレムとクリスとアビの3人が2年前にここに来て始めたらしい。薬用植物を栽培し出荷しているのとキャンプ場の貸し出しが主な収入源だそうだ。定期的にアヤワスカのセレモニーを主宰していてなんと今日セレモニーをやると言っているので参加させてもらうようお願いする。

 

 本来セレモニーに参加するには、前日に2日間の労働を提供することになっている。その代わり、参加費は無料だ。無理を言ってお願いして特別に参加させてもらえることになった。セレモニーの祭場は火の祭壇と水の祭壇の2種類あり、今回は水の祭壇を使って行うそうだ。儀式は夜の8時からだそうで2時間前にギドに付き添い彼の手伝いをするように言われた。それまでゆっくりと体を休めることにする。

 日が沈んで辺りが暗闇に包まれた頃、水の祭壇を囲むようにして儀式は始まろうとしていた。参加者は住人の5人プラス僕ともう一人音響を担当するフェリッペという地元の男だった。アビが前説を行い、いよいよ儀式が始まる。

 

 先ずはウィレムが、先住民族が使用する鼻から吸い込むタバコRapéをギド、僕、バルバラの順に吹き込んでいく。嗅ぎタバコはドイツにいた頃やったことあるがこれはきつい。鼻の奥から喉までガツンとタバコが吹き込まれると思わず涙が出るほど強烈だ。

 

 次に、クリス、アビ、バルバラ、僕、ギド、フェリッペの順にウィリアムがコップに注いでくれる赤紫の液体アヤワスカを飲み干していく。初めて飲むアヤワスカの味。ネットの情報では苦くて吐き気がするくらい不味いと書いてあったが全然飲める。僕の感想としては三基商事のミキプルーンみたいな味だった。

 

 儀式は厳格に執り行われていく。最後のフェリッペが席に戻るとギターを弾き始めた。僕はギターの音を聞きながら自分の体に起こる変化を観察した。マッシュルームやLSD、サボテンなどサイケデリック体験は以前にあるので身体の変化には敏感だ。しかし1時間ほど経過しても全く反応がなかった。

 

 ウィレムが2杯目のアヤワスカを呼びかける。フェリッペと僕とギドが2杯目を飲む。自分の場所に戻りしばらくすると軽い吐き気と共に体に変化が起こり始めたのをキャッチした。ウィリアム、フェリッペ、アビ、クリス、バルバラが変わるがわりに演奏していたがその音が脳に直接響いてくるような感覚に変わる。

 

 そして、今までもずっと鳴いていたはずのカエルの声が急に気に留まるようになる。カエルと演奏の音の共鳴を楽しんでいると今度は祭壇の中央に何かのシンボルが表れ始めた。だんだんくっきりし始めたとき幾何学状のシンボルはフラクタルに広がり視界を覆った。と同時に様々なイメージが溢れんばかりに表れては消え現れては消えた。

 

 3杯目の集合がかかる。それと同時くらいに隣のギドがむくっと起き上がり森の方へ消えて行った。間もなくしてボエエェェッェ オエェエエェ ゴホッゴホッ ゴエッウオオゴエエウウェェェエエっと凄まじい音が響きわたる。浄化が始まった。アヤワスカを飲んで吐くことを浄化と呼ぶ。これはマオイという成分が体に起こす変化の一つである。

 

 それから1時間くらいして儀式は終了した。最後に各自今晩の感想を述べ後片付をして全てが終了したのが3時~4時くらいだっただろうか。僕は3杯目をパスしたせいで結局この浄化までは至らなかった。後で3杯目をなぜとらなかったのか心残りになる。吐くのをビビったのか?幻覚をビビったのか?まさに浄化不良だ。

 

追記:CAMINHO DAS PIDRASとはポルトガル語で石の道という意味だ。オーガニックな生き方を厳格に貫くまさに、彼らの生き方そのものだと思った。

 

 滞在中、一匹のホワイトタイガーのような珍しい毛柄をした猫が四六時中それこそ寝るときも一緒にいて離れようとしなかった。名前をタピオカといった。これを書いていたらタピオカが恋しくなった。

Comunindios

 どうしようか迷ったが3日後、初めに寄ったコミュニインディオスに戻ってくることにした。理由はカミンホダスピエドラで取らなかった3杯目と最初に出迎えてくれたイグアナが気になっていた。それと、ほかの場所ではどういう様式で行われるのかということにも興味があったし、最初に会った時に抗うつ剤などの薬を取っているかどうかという確認にも信頼が置けたからだ。

 

 アヤワスカを取る時に絶対に気を付けないといけないのが酸化酵素阻害薬やSSRI抗うつ薬と併用してはいけない、セロトニン症候群を引き起こし、血圧の上昇、昏睡、死亡にいたる。また、チラミンを多く含む食物は、交感神経を刺激し高血圧を引き起こす可能性がある。ビール、赤ワイン、豆腐、大豆、チーズ、加工された魚、ソーセージなどがこれにあたる。

 

 着くと最初の日に居た男の他に眼鏡をかけた男、歯の矯正を付けた女、とパンが昼食のスープを食べているところだった。パンが僕にもスープを勧めてくれた。最初は断るがセレモニー前にお腹にれて置いた方がよいというので結局頂くことにした。

 

 セレモニーは8時から行うそうで、まだだいぶ時間があった。スープを食べ終わると、最初に会った男アルゼンチン人のレアンドロが僕をハンモックを掛け体を休めるところへ案内してくれた。彼は1週間前からここでセレモニーの日を待っていたそうだ。

 

 ハンモックに横たわって一時間ぐらいたったころ英語で話をしている男たちの声が聞こえた。起き上がると二人の男がいて1人はアメリカ人でショーンもう一人はフランス人で聞きなれない名前だったので忘れた。ショーンは日本に行ったことがあり日本は最高だと言ってくれていた。

 

 日が落ちてきたころフランス人がハンモックを会場に移動するようにと呼びに来てくれた。ハンモックを持って移動するとセレモニーに参加するほかのメンバーのハンモックがぶら下がっていた。空いている場所に掛けパンが来るのを会場で待つ。会場は屋根の着いた吹き抜けの広いスペースだった。

 

 パンが来るとみんな集合し説明が始まった。パンも含めて10名が今回セレモニーを共にするメンバーだ。コミュニインディオスとはそれぞれの身体には神様が宿っていて上下も優劣もないみな等しく尊い存在だという意味だという話から始まり、各自メンバーの自己紹介、セレモニーの際の注意事項の確認があった。

 

 今回もアヤワスカは約1時間半置きの間隔で3回摂取する。前回2回でやめたので今回はとことん行ってみようと内心息巻いていた。さて、コミュニインディオスはどのような世界へと僕を誘ってくれるのか。 

 Psychotria viridis
Psychotria viridis
Banisteriopsis caapi
Banisteriopsis caapi

 チリリンチリリンと高い鈴の音と共にセレモニーが始まる。形式はあるが前回のペドラスのような厳粛さはない。自由な感じがする。一人一人順番にパンの所へ行き、アヤワスカをコップに注いでもらう。

 

 注いでもらう時に強いか弱いかコップのサイズを選ぶ。もちろん量が多い方が強い。大きいサイズに注いでもらう。液体の状態がペドラスの時よりもドロッとしていて味も濃い。グイット飲み干す。

 

 床に敷かれたマットに寝そべり身体の変化を待つ。30分くらいたった頃だろうか急に悪寒がして火の元へ移動しようと起き上がった時、強烈な吐き気に襲われる。

 

 林の方へ走り込むと同時にボエエェェッェと一発目が噴射したかと思う隙もなく次々から次へともう一生吐きつづけるんじゃないかと怖くなるくらいに吐きまくる。

 

だけど、アルコールを飲み過ぎて吐くあの感じとはまた別ものでもっとサッパリとした感じだ。どう伝えたらいいのかこればかりは体験しない事には理解できないだろうと思う。

 

 しこたま吐きまくった後、火の元へ行く。視界はまるで四次元世界のようだ。青と緑に白い斑点の着いた半透明の壁?フィルターが上下左右にクロスしては離れ合っている。例えて言えば草間彌生の世界に似ている感じ。僕の場合もう少し直線的で青と緑だったけど。

 

チリリンチリリンと高い鈴の音が会場の方から聞こえる。2回目のアヤワスカタイム。集合の合図だ。

「魂の灯」 "Soul of light" Yayoi Kusama
「魂の灯」 "Soul of light" Yayoi Kusama

 今回はとことん行くつもりだったので多少ふらつきながらもパンの元へ2杯目のアヤワスカを貰いに行く。身体が拒絶しているせいかいつものミキプルーンの味ではなく苦い別のものを飲まされている気がした。グイット一気に流し込む。ジュワッット胃に染み渡る感じがした。用意されていたフルーツと水で後味の悪さを中和させる。

 

 そしてまた火元へ戻る。またもや30分後くらいに吐き気を覚え吐きまくる。前回よりは少し楽な気がしたがそれでもこれでもかと言わんばかりの吐きっぷり。散々吐いた後はまた強烈な幻覚世界が視界を奪う。身体の神経は鈍くなっているようで足にも大分来ていた。しかし、頭はスッキリと冴えていて視覚と聴覚が以上に敏感になっている。

 

チリリンチリリンと高い鈴の音がまた会場の方から聞こえた。最後のアヤワスカタイムの集合の合図がかかる。

 

 フラフラとよろめく足元を踏ん張りながら歩く。焚火の場所から会場まですごく遠い距離を歩いているような感じがした。パンがまだ大丈夫かと気を使ってくれる。大丈夫だからと答え最後のアヤワスカをグイット飲み干す。強烈に苦い。フルーツと水を飲み苦みを中和させる。そして床のマットに寝転がった。

 

 そこら中いたるところで誰かが吐いている音がする。スピーカーから聞こえる音が止まる。木で組まれた高い天井の幾何学的な形状がすぐ手の届くようなところまで迫ってきている。押しつぶされるような感覚に身をそのまま委ねる。蝋燭の火の揺らめきの中に全てが吸い込まれていく。遠いところへ来たなぁと思っていたら涙がこぼれていた。

 

 また起き上がりもう消えてしまいそうになっている焚火に木をくべに行く。その時は何か自分がとても重要な作業をしているかのように思っていた。また火が勢いを取り戻す。燃え盛る炎が現実の世界を繋ぎ止めてくれているかのように思えた。ちょっと前に感じた孤独や悲しみも消えていた。炎がついでに焼き払ってくれたのかもしれない。

 

 チリリンチリリンと会場から聞こえる。セレモニー終了の合図だ。

 

 会場に明かりが付けられ中央へ全員が集合する。一人一人今晩の感想を述べすべてのプログラムが終了した。

Mono&Poly knatterverein

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