● ▲ ■   p r e s e n t   ■ ▼ ●

Saga-Fukuoka-Yamaguchi-Hiroshima

 ガリガリガリクソン。いやな音が聞こえたなと思った直後、シャカシャカシャカ、自転車のペダルが空回りして前に進まなくなった。チェーンはギヤから外れていない。どうやらまたシャフトの中の爪が折れたようだ。山口県周南市に入る手前で同じようなことが起こり、昨日、自転車屋さんで修理してもらったばかりだったのにわずか40キロほど走っただけでこれだ。目的地の岩国市までまだ20キロ以上ある。最悪だ。


 昨日修理してもらった自転車屋さんに電話をかける。事情を説明し、自分がいるところから近い場所に自転車屋さんがあるかどうか尋ねると、今からそっちへすぐ向かうんでそこで待っててください1時間ほどで行きますからと申し訳なさそうに自転車屋のオヤジさんが言ってくれた。助かった〜。まさかここまで来てくれるとは思わなかった。

 

 それから待つこと1時間半。自転車屋のオヤジさんが軽トラックで来てくれた。オヤジさんは着くと、ここではバラせんからこのまま店まで積んで帰らにゃいけんと言う。40キロ自転車で走った今日の時間と体力は無駄になるが、目的地の岩国まで20キロ自転車を押して歩くことを考えると仕方ないと思った。

 

 車で周南市に戻っている道中オヤジさんが申し訳ないねぇ、今日はどこまで行く予定やったんね?と聞くので、岩国市までは行こうと思っていましたと答えると、修理が済んだら岩国までトラックに積んで連れて行ってあげるから心配するなと言う。えっ、まじっすか?オヤジさんマジッすか?いいんすか?と思わずテンションが上がる。

 

 周南の店に戻り準備してくれていた新しい部品を取り付け終わると今度は息子さんが本当に岩国まで僕と自転車を送り届けてくれた。しかも修理代は以前払った分だけで今回の分はいらないと。なんていい人達だ。なんていい国だ日本。

 目が覚めるとすでに昼の12時をまわっていた。30分前にヨウスケから携帯に着信が入っている。やばい完璧に寝過ごした。

 

 外はひどく雨が降っている。今日は佐賀の友人ココタマプランツのケンティがデコレーションで参加しているイベントに誘われていて、それが広島市内のお寺で12時からあるので一緒に行こうとヨウスケと約束していた。ヨウスケに電話をかけるとオレもさっき起きたばかりだからと笑っていた。類友だ。

 11月25日金曜日に佐賀県小城市の実家から出発して今日で10日が経つ。現在は周南市(山口県)に住んでいる友人のヨウスケが広島市内に住む彼の友人を紹介してくれ、そこにお世話になっている。

 

 道中、基本的にはインターネットカフェかテントを張って野宿をしている。昼間自転車を漕いでいるときは暑いくらいだが、初冬を迎えたこの時期、日が沈みテントを張る頃にはすっかり冷え込む。特に日が昇る頃の放射冷却時は寝袋に包まれていても目を覚ましてしまうくらいの寒さだ。

 

 これまで7回転け(そのうち一回は顔面を強打し口の中が切れ血が出た)、自転車が壊れ、車にもひかれそうになった。1日8時間も自転車に乗っていると尻の割れ目から裂けてしまうんじゃないかというぐらい尻が痛み、運動不足の太ももとふくらはぎの筋肉はピクピク痙攣が止まらなかった。しかし、なんとか広島市内まで無事にたどり着くことができた。そして明日には岡山を目指し、また出発する。

 

 

 そもそもなぜこのような無謀なことをやることになったのかというと、それはこの自転車を作る時に冨田さんと交わした男と男の約束があったからだ。冨田さんとは、今から6年前に東大和市で行われた野外アートフェアに参加したのがきっかけで知り合った。

 

 冨田さんは54歳まで現役の競輪選手として走りきったすげーおじさんだった。トミティーステッカーというのを自分で作って人に配るのが好きで周囲からもトミティーと呼ばれ親しまれていた名物おじさん。とても気さくな人だったし、とても変な人だった。...つづく

Mono&Poly knatterverein

Now in Japan

Life is an Experiment

and the Gambling.